コラム

【19-20AW】多様性の旗手「sacai(サカイ)」

 他分野に先駆けて、女性の社会進出が早かったファッションの世界。

 誰もが知るブランドシャネルの創業者にして、恐らく史上最も有名なデザイナーであろう、ガブリエル・シャネルはもちろんのこと、日本の森英恵小池千枝といったファッション界の女史たちも、パイオニアとして記憶される。

 また、近年のファッション界においては、男女合同のランウェイや男女間のレーベル名の統一化、あるいは、ユニセックスやジェンダーレスな服作りなど、性差にまつわる変革やトピックが目立つ。

そこには高度に複雑化され、フローの速い現代(そして、今後もそれは加速度的に進むだろう)において、コレクションとプレコレクションを抱き合わせる、などといったビジネス的な理由があることは間違いない。しかし、社会に対する変革をリードせんとする、担い手としてのクリエイターの意思もまた、確かに存在するだろう

 今回は、それらの要素を巧みにまとめ上げる「多様性の旗手」、阿部千登勢・女史による「サカイ」を紹介したい。女史は「コム・デ・ギャルソン」など数社でパタンナーを務めた後、結婚・出産を機に、一度はファッションの世界から身を引く。その後、再びやってみようかと迷っていたところ、kolorのデザイナーである夫の阿部潤一氏の後押しもあり、ブランド創業に漕ぎつけたという経緯があるそうだ。

 今シーズンの「サカイ」は、ストリートやスポーツテイストのアイテムに、テーラードやエスニカルなアイテムをミックスした、もはやこのブランドでは定番化していると言って良い「ハイブリッド・スタイル」だ。メンズコレクションとウィメンズのプレコレクションを合同で行うスタイルも、これまで「サカイ」は積極的に行ってきた。

 「サカイ」は、他社とのコラボレーションも積極的に行い、巧みにこなすブランドでもある。こちらの「ナイキ」とのコラボレーションによるスニーカーとダウンジャケットも、非常に目を引く存在だ。肩幅は狭めで袖丈が長く、素材の切り替えがモード感を漂わせている。スニーカー・ダウンジャケット共に、ショーではブラックとホワイトの二種類が確認された。

 メンズのコレクションとウィメンズのプレコレクションを合同で行うショーのみならず、「サカイ」は今シーズンから新たにユニセックスラインをローンチした。どうやらTシャツやセーターといったニットウェア類や、ショーでも男女問わず着用しているネックレスがユニセックスラインの商品となるようだ。

 「ナイキ」スニーカーは先ほど紹介した通りだが、こちらのシースルーでエスニカルなワンピースとの「ハイブリッド」も美しい。「サカイ」にとってはメンズファッションウィークのショーということは、最早あまり関係ないのだろう。ファーストルックを飾るのにふさわしい存在感を放っている。

 ロンドン・コレクションの稿での「ジョン・ローレンス・サリバン」、そして前回のvol.2で取り上げたエディ・スリマンによる「セリーヌ」と同様、「サカイ」のコレクションにもレオパード柄のアイテムが登場した。消費者目線としては受け入れられるか否かが分かれる柄ではあると思うが、トレンドのひとつとなる事は間違いないだろう。

 そして「ナイキ」のスニーカーや、先程のルックで登場したバッグ、そしてこちらのサンダルといったアイテムに取り付けられた、人工ファーにも言及したい。近年では、間近で見ても見分けが付かないくらい、人工ファーの製造技術が上がっている印象だ

 ファッション界においても、「サステイナブル」というキーワードは、クリエイションにおける一種のトレンドとなっている。古くから「ステラ・マッカートニー」などが取り組んでいることで知られているが、近年は様々なブランドでも、リアルファーの取り扱いを中止している。グッチによるリアルファーの廃止も、大きな話題となった。

 こちらも、ユニセックスラインのTシャツのようだ。胸部にプリントされた文字、「Bar Italia」はロンドンにあるカフェで、かつて阿部女史が通っていたとのこと。ファッション内外の多分野において、コラボレーションに積極的な「サカイ」の特徴は、こんなところにも表れている。

 Tシャツには「MELTING POT(人種のるつぼ)」と書かれている。多様性の象徴でもあり、コレクション全体としてトピックの一つでもあった。

 フランスといえば、所謂「白人」の国家と思われる人も多いのかもしれない。しかし、昨年のサッカーW杯ロシア大会においても、ピッチ上で躍動し、そして優勝したフランス代表の選手たちの多くがアフリカ系の選手だった。

 今や「人種のるつぼ」に当てはまるのは、決してアメリカだけではない。様々な点で議論となるであろうことは間違いないが、移民や難民を抱えるフランスや、ひいては都市部を中心に外国人労働者を受け入れる日本もまた、多民族国家への道を歩んでいくのかもしれない。


 今日のパリ・コレクションのファッションシーンからも、それらは読み取れる。

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この記事を書いた人
瀬川 俊太朗
c-styleのバイヤー兼鑑定士。某大手ブランド買取店での長きに渡る 査定の経験により、得意ジャンルは幅広く、ラグジュアリーブランドは もちろん、モード、ドメスティック、ストリート、また、バッグ、時計、 アクセサリーなどの小物系も得意としている。趣味は山登り。

sacai(サカイ)買取価格表

  • 商品名

    THE NORTH FACE(ザノースフェイス)×sacai 17AW ND9171SA 17-01503M ボンバージャケット

    買取上限参考価格

    175000円

    カテゴリー

    アウトドア

  • 商品名

    NIKE(ナイキ)×sacai(サカイ) LDV Waffle BV0073-400

    買取上限参考価格

    35000円

    カテゴリー

    スニーカー

  • 商品名

    THE NORTH FACE(ザ ノースフェイス)×sacai(サカイ)17AW ファービーニー

    買取上限参考価格

    15000円

    カテゴリー

    アウトドア

  • 商品名

    THE NORTH FACE(ザ ノースフェイス)×sacai(サカイ)17AW Tシャツ

    買取上限参考価格

    17000円

    カテゴリー

    アウトドア

  • 商品名

    THE NORTH FACE(ザ ノースフェイス)×sacai(サカイ)17AW M TNF×SACAI PANT ドライベントナイロンロングパンツ

    買取上限参考価格

    35000円

    カテゴリー

    アウトドア