コラム

【19-20AW】「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」とマイケル・ジャクソン

 パリ・コレクションのメンズが熱い。

 去る2019年1月15日より20日まで、2019-20AWシーズンのパリ・メンズコレクションが行われた。「パリコレ」の名前で親しまれる本コレクションは、4大コレクションの中でも最も有名で伝統的に影響力が高く、参加ブランド数も多い

 今シーズンは新たにエディ・スリマンによる「セリーヌ」や、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻の手掛ける「ジル・サンダー」、クリス・ヴァン・アッシュの「ベルルッティ」などのブランドも加わった。また、従来は非公式で発表していた「ヴェトモン」「ラフ・シモンズ」といった、影響力のあるブランドも公式スケジュールに組み込まれた。

 一方、日本からは宮下貴裕氏の「タカヒロミヤシタ・ザ・ソロイスト」が、ついにパリ・コレクションの舞台に登場した。先シーズンは、ピッティ・ウォモにてショーを行った宮下氏だが、パリ・コレクション参加はかつての「ナンバーナイン」時代から、実に10年振りとなった。その他にも、2018年に始まった新鋭の「フミトガンリュウ」の初参戦や、常連の「アンダーカバー」「メゾン・ミハラヤスヒロ」など、日本ブランドの参加数が目立ったシーズンとなった。


 何れにせよ、メンズにおけるパリ一極集中の傾向が見られたことは間違いない。



 前置きが長くなったが、今回はパリ・コレクション参加ブランドの中でも最高の知名度を誇るであろう、「ルイ・ヴィトン」の19‐20AWシーズンを紹介する。

 ヴァージル・アブロー率いる、メンズの「ルイ・ヴィトン」は2シーズン目を迎えたが、今シーズンの「ルイ・ヴィトン」は、故人となって久しい、マイケル・ジャクソンのメンタリティにリスペクトを捧げたコレクションだ。


 アブロー自身のブランド「オフホワイト」と比べ、全体的にフォーマルなスタイルに重点に置いており、あくまで歴史と伝統のあるスーパーブランド、「ルイ・ヴィトン」を尊重していると思われる。デザイン面においても、自身のブランドとうまく棲み分けられている印象だ。

 NYのイーストヴィレッジを模したと思われるショー会場。

 そこにまず現れたのは、テーラードスタイルのモデルたちだ。上品なグレーのセットアップは、オーバーシルエットのアウターや膨らんだシルエットのパンツといった、定番のストリートテイストに仕立て上げられている。足元もローファーや定番のスニーカーといった、上品ながらもカジュアルなカテゴリーのアイテムたちだ。

 「ルイ・ヴィトン」伝統のブランドバッグには、チェーンが取り付けられている。この辺りも、ストリートに軸足を置くアブローらしいディティールだが、ここまでラグジュアリーなアイテムへと昇華しているあたりは流石だ。ランウェイには色とりどりのネオンカラーのバッグも登場し、実に映える存在だった。

 やがてテーラードスタイルは影を潜め、今度は星条旗のニットや、パリの凱旋門やエッフェル塔がプリントされたルックが登場する。インスピレーションソースであるマイケル・ジャクソンや、コレクションを手掛けるヴァージル・アブロー自身、そして「ルイ・ヴィトン」といった多様なバックグラウンドに敬意を払っているのだろう。

 また、こちらのブルゾンの胸部には、アフリカ大陸があしらわれている。ちなみに、ヴァージル・アブローは「ルイ・ヴィトン」のアーティスティック・ディレクターとして、初のアフリカン・アメリカンでもある。

 ショーの中盤には、マイケル・ジャクソンのファッションに着想を得たと思わしき服に、「ルイ・ヴィトン」伝統の「モノグラム」を組み合わせたルックが登場する。ブランドアイコンでもある「モノグラム」は、日本の家紋をモチーフに発明されたというのは有名な話だ。個人的にも、このキャメルやレッドは好みのカラーだ。

 この辺りには、マイケル・ジャクソンの代表曲、「スムーズ・クリミナル」のライブで行われた有名なパフォーマンスである、「ゼロ・グラビティ」をモチーフにしたプリントが登場する。細かな模様としても面白いが、Tシャツのプリントとしてもインパクト大だ。

 そして、ショーの後半からフィナーレに掛けては、色とりどりの国旗模様が登場した。

 まるでマイケル・ジャクソンのメンタリティである、ダイバーシティの象徴であるかのようだ。あるいは、世界最大のファッション・コングロマリットであるLVMHの基幹ブランド、「ルイ・ヴィトン」のグローバリティをも示しているように思える。


 さしずめ、「We are the World」といったところか。

 ショーのフィナーレに登場した、ヴァージル・アブロー。蛇足だが、彼の履いているスニーカーは、裏原系ブランド「ア・ベイシング・エイプ」「ベイプスタ」の様だ。よく見ると、ディティールが定番モノとは異なるため、「オフホワイト」特別モデルとなるかもしれない。コラボレーション力に定評のあるヴァージル・アブローだけに、今後発売される可能性も充分に考えられる。スニーカー好きは要チェックの一品だ。

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この記事を書いた人
瀬川 俊太朗
c-styleのバイヤー兼鑑定士。某大手ブランド買取店での長きに渡る 査定の経験により、得意ジャンルは幅広く、ラグジュアリーブランドは もちろん、モード、ドメスティック、ストリート、また、バッグ、時計、 アクセサリーなどの小物系も得意としている。趣味は山登り。