コラム

【2020SS】パリ・メンズコレクション

テーラードスタイルがトレンド

  1. Dior(ディオール)
  2. CELINE(セリーヌ)
  3. UNDERCOVER(アンダーカバー)
  4. JIL SANDER(ジル・サンダー)
  5. Paul Smith(ポール・スミス)

 去る2019年の6月18日から23日の期間にて、パリ・メンズコレクション2020年春夏シーズンのショーが行われた。昨シーズンの流れからの予測通り、今期はテーラードジャケットやコートを中心とした、クラシックなスタイルが幅を利かせた。一方でストリート路線を継続するものや、段階的なクラシック路線への移行を感じさせるもの、あくまで独自のスタイルを継続するものも散見された。

 本記事ではテーラードスタイルを中心に発表したブランドについて取り上げる

1.Dior(ディオール)

 キム・ジョーンズのディレクションによる、Dior(ディオール)も3シーズン目となった。今回は19SSシーズンのデビュー・コレクションをやや踏襲した形となったが、テーラードジャケットやコートのルックが増えており、よりフォーマル度が高かった。

 ペールピンクが幻想的な雰囲気を演出していた会場は、色覚異常をもつアーティストで知られる、ダニエル・アーシャムによって手掛けられたもの。ランウェイには、白やライトグレーを基調としたルックが続く。ブロックごとにブルー、オレンジ、ピンクといった差し色が映えるものの、全体的には落ち着きと優しさ、柔らかさを強く印象付ける

 ディオールのメンズラインは、伝統的にテーラードスタイルを得意としているクリス・ヴァン・アッシュエディ・スリマンが手掛けていた時期も然り、それ以前の「ムッシュ」時代も然りだ。オーガンジーのシースルーアイテムや、ジャケットの光沢感のある生地感も印象的で、いずれもラグジュアリーな印象を与える。

 その他、ランウェイにも登場した、RIMOWA(リモワ)とのコラボレーションによるバッグも要注目だ。近年、様々なブランドとのコラボレーションに積極的なリモワだが、今シーズンはディオールとの協業が実現した。金属製ながら、絶妙な色合いとシェイプが重量を感じさせない。こちらも人気必至のアイテムになるだろう。

2. CELINE(セリーヌ)

 エディ・スリマンの就任と共にローンチしたCELINE(セリーヌ)のメンズラインは、就任当初の賛否両論もどこ吹く風。その人気から、最も注目すべきブランドの一つとなっている。

 細身のスタイルやアイウェアなど、今期もエディらしさ全開である。今シーズンは裾の広がったジーンズやラメ入りのセットアップなど、さながら1970年代のロックスターのよう。加えて、随所にフレンチカジュアルの要素を取り入れ、絶妙なバランスで融合されている。

 また、テーラードジャケットの大半が、ダブルブレステッドであることにも注目したい。ダブルのジャケットは、次項のアンダーカバードリス・ヴァン・ノッテンなど、今期はいくつかのメゾンで中心的に登場した。ジャケットの中でも、特にトレンドアイテムとなるだろう。

3. UNDERCOVER(アンダーカバー)

 ドメスティックブランドを代表するひとつのUNDERCOVER(アンダーカバー)も、トレンドの移行に伴い、変化をつけてきた。昨シーズンは会場やメイクはダークな雰囲気でありながらも、ルックはカラフルであったが、今シーズンはまた異なる様相を呈している。

 ルックのほぼすべてをテーラードジャケットやコート、シャツといったアイテムでまとめ、今期は会場だけでなく、カラーもほとんどを黒一色で展開している。これでもか、という程にダークでミニマル。異様ともいえる雰囲気を漂わせている。

 ショーのところどころに、アメリカの写真家である、シンディ・シャーマンの作品を起用。セルフポートレートによる作品をメインとしていたシンディの姿が、プリーツやパッチワーク、デジタルジャカードなど、様々な表現方法によって黒一色の世界に浮かび上がった。

4. JIL SANDER(ジル・サンダー)

 テーラードスタイルを代表するブランドといえば、パリでの発表が2シーズン目となるJIL SANDER(ジル・サンダー)も語るに欠かせない。80年代から90年代にかけて、キャリアウーマンのアイコンとなったことからも伺える通り、メンズ・レディースを問わず、テーラードスタイルが非常に評価の高いブランドである。

 2013年に創業者がメゾンを去って以降、ブランドは低迷していたものの、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻に率いられる現在は、完全に息を吹き返した印象だ。今期もブランドのお家芸であるネイビーのテーラードジャケットやコート、白いシャツといったアイテムを中心にコレクションを展開。

 また、今期はランウェイのサイドに配置された水墨画と、ステージ裏の花も印象的であった。ベトナムの民族衣装を取り入れた昨シーズンのレディースコレクション然り、今シーズンも、オリエンタルなディティールをうまく融合している

5. Paul Smith(ポール・スミス)

 最後に、日本でも非常に人気があるPaul Smith(ポール・スミス)を取り上げたい。ここ数シーズンは継続してパリにてコレクションを発表しているポール・スミスだが、今シーズンは、ポールがかつて70年代のNYを訪れた際、ダウンタウンにて出会った人々がテーマとなっているようだ。

 今日ではやや大きめのサイズ感といえるジャケットたちだが、生地感はとても軽やかだ。カラーパレットも、当時のポップアートに使用されていたものが中心となっている。また、ポール・スミスダブルブレステッドのジャケットをメインアイテムに添えている

 その他、スクリーンプリントにて表現されたアイテムにも注目だ。花やブランドを象徴するウサギなどがプリントされており、ランウェイにところどころ登場する。ポール・スミスは値段も(今回紹介したブランドの中では)手頃なため、トレンドを導入しやすい点にも注目したい。

ABOUT ME
瀬川 俊太朗
c-styleのバイヤー兼鑑定士。某大手ブランド買取店での長きに渡る 査定の経験により、得意ジャンルは幅広く、ラグジュアリーブランドは もちろん、モード、ドメスティック、ストリート、また、バッグ、時計、 アクセサリーなどの小物系も得意としている。趣味は山登り。

UNDERCOVER(アンダーカバー)買取価格表

  • 商品名

    OFF-WHITE(オフホワイト)×UNDERCOVER(アンダーカバー)SKELETON RVRS HOODIE ブラック

    買取上限参考価格

    71000円

    カテゴリー

    ストリート

  • 商品名

    UNDERCOVER(アンダーカバー)RIDERS HOODED BLOUSON/BLACK

    買取上限参考価格

    99000円

    カテゴリー

    ドメスティック

  • 商品名

    UNDERCOVER(アンダーカバー)ライダースジャケット ネイビー UCA4202

    買取上限参考価格

    38000円

    カテゴリー

    レザージャケット

  • 商品名

    UNDERCOVER(アンダーカバー)×Dr. Martens(ドクターマーチン) コラボシューズ UCX4F03 BLACK

    買取上限参考価格

    12000円

    カテゴリー

    カジュアルシューズ

  • 商品名

    UNDERCOVER(アンダーカバー) バックパック/リュック UCX9B01 RED

    買取上限参考価格

    33000円

    カテゴリー

    バッグ